この人の決断にかかっている(マッタレッラ大統領)(C)AFP=時事

 

 5月27日からのわずか1週間足らずの間で、イタリア政情が目まぐるしい急展開を見せている。混迷に近い。

 連立に合意した「五つ星運動」と「同盟」のポピュリスト両政党に推され、セルジョ・マッタレッラ大統領に次期首相に指名されたフィレンツェ大学法学部教授で政治経験ゼロのジュゼッペ・コンテ氏は、27日に組閣名簿を大統領に提出した。その中の経済・財務相に、エコノミストで企業幹部のパオロ・サボナ氏の名前が記されていた。

 ところが、マッタレッラ大統領はサボナ氏の反EU(欧州連合)、反ユーロの言動に反発。ユーロからの離脱を公言するような者を閣僚に任命するわけにはいかない、と拒絶し、コンテ氏に、これに代わる者の名前を提出するよう求めた。

 サボナ氏当人も同日、自分は、より強力な、しかし今とは別の形のより公正なヨーロッパが必要だと主張しただけである、と書簡にて釈明したが、マッタレッラ大統領はこれを不十分として退けた。

 他方、コンテ氏は別の候補を提出することはできないとしたため、大統領は閣僚名簿全体の信認を拒否。結局コンテ氏はその日のうちに、最終的に組閣を断念する旨発表した。さらに続けて、首相指名の返上も申し出た。

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