英国ハリー王子とメーガン・マークル妃のロイヤルウェディングで登場した青いクラシックタイプのジャガーも、実は電気自動車だった(ケンジントン宮殿公式ツイッターより)

 

 日本ではあまり真剣に捉えられていないきらいがあるが、昨今のエネルギー市場では2つの大きなモメンタムが働いている。「パリ協定」実現に向けての環境対策と、供給より先に需要がピークを迎えるという「新ピークオイル論」である。

 環境問題への地球規模の対応策としてほぼ世界中の国、地域が合意して締結した「パリ協定」の実現は、確かに簡単なものではないし、ドナルド・トランプ大統領のように根本的疑念を抱いている人が多いのも事実だ。だが、時代は間違いなく「低炭素社会」を目指して動いている。

 日本でも、環境対策としての電気自動車への流れには関心が高い。戦後の日本経済を支えてきた産業の1つが自動車産業だ、という理由からだろう。

 だが、日本の電気自動車論議に欠落している視点の1つが、電気代の問題だ。ガソリンや軽油などを燃料とする既存の内燃エンジン車とのコスト比較をするとき、往々にして我々が常日頃使用している家庭用電気代をコストとしてそのまま使っているケースが散見される。電気自動車が普及した場合、自動車に使用される電気代を、現在の家庭用電気代と同じにする、ということが保障されているわけではないからだ。政府がどのような政策が妥当と考えるかは、現時点では予測し難い。

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