ヨルダンは「アラブの春」以来の大揺れ
2018年6月5日
ヨルダンが、2011年に「アラブの春」が波及した時以来の規模の政治的動揺に見舞われている。5月30日に発生した、電力・燃料価格の値上げと所得税の新税導入に反対する抗議デモが、大規模化し長期化した。6月4日、アブドッラー2世国王はハーニー・ムルキー首相の辞任を要求、同日に首相は辞表を提出した。しかし首相辞任後もデモは続く模様だ。
ヨルダンのアブドッラー2世国王は、国民の不満が高まると、自らは超然として、行政実務を担う首相以下を更迭して凌ぐのが常だったが、今回はどうなるのだろうか。
ヨルダンはモロッコと並んで、「アラブの春」の抗議デモの波が及んだものの、君主が閣僚・首相の更迭、改革の約束、選挙による一定の勢力の取り込みによってデモの圧力を散らすことに成功した事例だった。しかし「改革の約束」が反故にされたと多くの国民が感じれば、再び、今度は本格的に、不安定化しかねない。「アラブの春」を比較的安定的に、非暴力的に乗り切ったとされるヨルダンとモロッコの動向に注目である。
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