「名経営者」と言われたのも今は昔。富士フイルムの天皇・古森重隆CEO (C)時事

 

 半世紀を超える合弁事業パートナーの米ゼロックスに仕掛けた買収案件が泥沼化し、窮地に陥っている富士フイルムホールディングス(HD)。2018年1月31日の買収提案時、会長兼最高経営責任者(CEO)の古森重隆(78)は「キャッシュは一切使わない」と、自身で練り上げたスキームを自画自賛し、米ゼロックスの「大株主」で経営陣との対決色を強めていた著名投資家のカール・アイカーン(82)らについて、「アクティビィスト(物言う株主)たちもおとなしくなるでしょう」と楽観視していた。

 ところが4月27日、ニューヨーク州上級裁判所が“物言う株主”らの訴えを認め、買収手続きの一時停止を命じた。富士フイルム側についていた米ゼロックスCEOのジェフ・ジェイコブソン(58)は、右往左往した挙げ句に辞任を余儀なくされ、さらには富士フイルム側の脇の甘い交渉姿勢が次々と表面化。古森がほしいままにしてきた「名経営者」の称号は、みるみるメッキが剥がれ落ちてしまった。山高ければ谷深し。このまま買収断念に追い込まれてしまえば、今年、傘寿(数えで80歳)を迎えた富士フイルムの「天皇」への老害批判が一気に高まるのは必至である。

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