5月30日に行われた宮中晩さん会で、ベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席夫妻と乾杯される天皇、皇后両陛下 (C)時事

 

 天皇、皇后両陛下にとって最後に迎える国賓となるかもしれない。6月2日まで5日間の日程で、ベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席夫妻が来日した。

 いま日越両国は蜜月にある。2017年2月から3月にかけて両陛下はベトナムを国賓で訪問、同年11月には日越が加わった環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に大筋合意した。南シナ海の領有権問題でも立場は一致している。

「遠きベトナム」という言葉

 前回、ベトナムの国家主席が国賓で招かれたのは4年前。今回は外交関係樹立45年という節目だったが、ふつう10年ぐらい間を置く国賓での招待を4年間に2回も行うのは珍しい。ベトナムへの優遇が窺える。

 5月30日、クアン国家主席とグエン・ティ・ヒエン夫人を歓迎する宮中晩餐会が開かれ、皇族、安倍晋三首相夫妻、日越親善に努めてきた俳優の杉良太郎さんら約150人が出席した。

 天皇は歓迎の言葉で、明治維新の日本に学ぶため20世紀初頭に「東遊(ドンズー)運動」を興し、何度か来日した独立運動家ファン・ボイ・チャウ氏(1867~1940年)や、第2次世界大戦後もベトナムに残って、対仏独立戦争をベトナムの人たちと共に戦った残留日本兵などに触れながら両国の交流をたどった。そして、友好協力が一層深まることに期待を表明して杯を挙げた。

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