「民主党のせいだ!」とは言いそうな(C)AFP=時事

 

 米ドナルド・トランプ大統領は、この新しい調査結果も「フェイクニュースだ」と叫ぶのだろうか? あるいは、調査年が2015年だから、これは前オバマ政権の失政だ、とでも主張するのだろうか?

 立場はどうであれ、科学的事実は事実と認識し、その上でそれぞれの政治的立場から評価を行い、国民の利益になる対応策を打ち立てて実行するという「原則」を確認することが大事だ、と筆者は愚考するが如何なものであろうか。

 さて、今回ご紹介するのは、米国の石油ガス産業が事業遂行にあたり空気中に漏洩しているメタンガスの量は、米国政府の試算よりも60%多かった、という最新調査研究報告に関する『フィナンシャル・タイムズ』(FT)の記事である。

 天然ガスは、燃やした場合に排出する二酸化炭素(CO2)の量が、石炭の約6割、石油の約8割であることから、よりクリーンなエネルギーであり、低炭素化社会への移行期に「橋渡し燃料(bridge fuel)」の役割を果たす、とみなされている。だが、現状では、生産坑井から発電所までのあいだに相当量が漏洩しているので、そのメリットが得られていない、というのが最新調査報告の結論だ。

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