仏『シャルリー・エブド』襲撃事件で、次々と特ダネをモノにしてきた調査報道サイト『メディアパルト』の記者マティユ・シューク氏 (筆者撮影)

 

 メディアが標的となって世界に衝撃を与えたフランスの風刺週刊紙『シャルリー・エブド』襲撃事件から3年半が過ぎた。この間、襲撃を支援したといわれる武装組織「アルカイダ」や「イスラム国」が退潮傾向を見せたこともあり、記憶は次第に薄れつつある。だが、その間に実像や背景が十分解明されたとは言い難い。

内部文書や非公開の捜査資料 

 この事件の謎に最も迫ってきたジャーナリストは、調査報道サイト『メディアパルト』の記者マティユ・シューク(43)である。主要夕刊紙『ルモンド』の記者時代、事件に遭遇した彼は、捜査当局内に築いた人脈を生かして数々の特ダネをモノにし、『メディアパルト』に移籍した後も追跡を続けている。

 他の多くのジャーナリストがインタビューや伝聞情報から真相に迫ろうとするのに対し、彼は当局の内部文書や非公開の捜査資料を入手し、これをもとに詳細を描く手法を取る。襲撃事件の犯人自身が過去の事件で受けた尋問の調書、犯人同士が交わした電話の盗聴記録、家族に対する事情聴取の内容など、主要な文書は軒並み手にしているようだ。

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