「ジハード主義者の妻」と「シャルリー捜査記録」が示す真実

執筆者:国末憲人 2018年6月28日
タグ: フランス
エリア: ヨーロッパ 中東
仏『シャルリー・エブド』襲撃事件で、次々と特ダネをモノにしてきた調査報道サイト『メディアパルト』の記者マティユ・シューク氏 (筆者撮影)

 

 メディアが標的となって世界に衝撃を与えたフランスの風刺週刊紙『シャルリー・エブド』襲撃事件から3年半が過ぎた。この間、襲撃を支援したといわれる武装組織「アルカイダ」や「イスラム国」が退潮傾向を見せたこともあり、記憶は次第に薄れつつある。だが、その間に実像や背景が十分解明されたとは言い難い。

内部文書や非公開の捜査資料 

 この事件の謎に最も迫ってきたジャーナリストは、調査報道サイト『メディアパルト』の記者マティユ・シューク(43)である。主要夕刊紙『ルモンド』の記者時代、事件に遭遇した彼は、捜査当局内に築いた人脈を生かして数々の特ダネをモノにし、『メディアパルト』に移籍した後も追跡を続けている。

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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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