難民問題で対立するメルケル首相(左)とゼーホーファー内相。70年も連れ添ったCDUとCSUに亀裂が入るのか、注目されている (C)AFP=時事

 

 ようやくの思いで連立合意をまとめホッと胸をなでおろしたかに見えたアンゲラ・メルケル首相が、政権存亡の危機に立たされた。メルケル首相が率いるキリスト教民主同盟(CDU)の長期にわたる連立相手であるキリスト教社会同盟(CSU)が、連立合意破棄を突きつけているのだ。やはり、問題となっているのは「難民」である。裏には、10月に予定されるバイエルン州議会選挙がある。というのも、バイエルン州は、地域政党CSUの拠点だからだ。

63項目のうちの1つ

 6月8~9日、カナダのシャルルボワで行われたG7サミットのころは、CDUとCSUの関係に取り立てて問題はなかった。メルケル首相は、CSU党首のホルスト・ゼーホーファー内相から機上で読むよう、内相起案の「難民政策に関するマスタープラン」を手渡され、快く一読を約束した。これが、政権を揺るがす発端になるとは夢にも思わなかったにちがいない。難民の取り扱いに関する提案をゼーホーファー内相がまとめたこの文書は、63項目にわたっている。そのうち62項目に関しては、メルケル首相としても特段の異論はなかった。

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