日本自由党時代の「盟友」芦田均(左)と鳩山一郎(中)、松野鶴平(右)(C)時事通信フォト

 

岩波書店版『芦田均日記』第1巻

 芦田均(明治20~昭和34年=1887~1959年)は几帳面な人であった。

 第一高等学校在学中の明治38年から亡くなる直前まで日記を綴り続け、それが『芦田均日記』として刊行されている。柏書房版は全5巻で昭和20年以前のものを、岩波書店版は全7巻で昭和19年以降のものを収録。多くの著作を発表している中曽根康弘でさえ、これに匹敵するような日記は出していない。

 その岩波書店版『芦田均日記』第1巻の昭和21年11月3日(当日は明治天皇誕生日に当たる祝日「明治節」だった)の部分に、こうある。「今日は何という素晴らしい日であつたか。生れて今日位感激にひたつた日はない。それは簡単には書けない」。続けて、「私の書いた憲法解釈のパンフレットは今朝出来上つた」。

「パンフレット」というのは、この日に公布された日本国憲法に関する芦田の著書『新憲法解釋』(ダイヤモンド社)のこと。同書は僅か99ページだが、当時の出版用紙事情を考えると、大作。「パンフレット」では決してない。 

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