最終的に「共同声明」採択に至ったのは明け方4時を過ぎていた(C)EPA=時事

 

 難民が大挙して押し寄せ、制御不能になった2015年の再来は何としても避ける――。

 6月28、29の両日、ベルギーの首都ブリュッセルにて開催されたEU(欧州連合)首脳会議は、この1点を念頭に交渉が繰り広げられた。

 最終的に採択された共同声明の内容は、2点に要約できる。「EUの扉の管理は厳重にする。不法移民の流入は許さない」「難民(難民申請者)は域内を勝手に動くことは許されない」。

 かくて、移民・難民対応はこれまで移民・難民の最初の上陸国が行ってきたが、今後は「EU全体」で当たることになった。そのためにしかるべき施設をEU域内と域外に設置する。ただし、この設置計画については不明な点も多く、実現するか否か定かでない。

 会議の主役はドイツのアンゲラ・メルケル首相とイタリアのジュゼッペ・コンテ首相、そして何よりフランスのエマニュエル・マクロン大統領だった。

強硬姿勢のイタリア

 政治経験のない法律学者コンテ首相にとり、今回は外交の初舞台だ。しかし、新顔とは思えないほど、会議が始まらないうちからその発言が注目を浴びた。「イタリアの主張がいれられなければ拒否権を発動し、会議をブロックする」。

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