マレーシア「ナジブ前首相」汚職事件の根源は「マレー系優遇政策」
2018年7月9日
マレーシア政治の辞書に「変化」という言葉はない、はずだった。何しろ、1957年に英国から独立して以来、最大与党「統一マレー国民組織」(UMNO)を中心とする与党連合による超安定的政治が半世紀以上にわたって続いていたからだ。
ところが、この数カ月、そうした常識を覆すことばかり起きている。マレーシアに前例のない大変化が訪れようとしているのだろうか。
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今年5月の総選挙で大敗を喫したナジブ・ラザク前首相が7月3日、汚職の疑いで逮捕された。政権転落からたった2ヶ月。予想を超える急展開である。
ナジブ前首相は、マレーシア政治のサラブレッドであった。マレーシア発展の礎を築いたアブドゥル・ラザク第2代首相の長男で、後継者としての未来が早くに決められていた。私の知る限り、20年ほど前には、「マハティールの後の後はナジブ」というのが既定路線であった。
そのナジブ前首相が、政権を失った途端に逮捕、という展開には、正直なところ、驚きを禁じ得ない。その一方で、来るべき時が来た、という思いもある。
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