多くの地方銀行(地銀)関係者の間で“怨嗟の声”が渦巻いている。

「金融庁自らが信用不安を引き起こすような内容の報告書を公表するとは言語道断」(東北地方の地銀幹部)、「地銀の経営統合を進めるために、意図して経営危機の可能性を煽っているとしか思えない」(北陸地方の地銀幹部)と批判の声が相次ぐ。

3色に塗り分けられた日本地図

 問題の報告書とは、金融庁が4月11日に発表した、金融仲介の改善に向けた検討会議による「地域金融の課題と競争のあり方」と題する報告書。この中で金融庁は、都道府県を青、白、赤の3色で色分けした「各都道府県における地域銀行の本業での競争可能性」という日本地図(記事冒頭)を掲載している。

 公表からすでに3カ月が経過しているにもかかわらず、ここにきて改めて批判の声が強まったのにはもちろん理由があるが、それは後述する。

 この地図は、各都道府県における地銀の状況を、青は2行での競争が可能な地域、白は2行での競争は不可能だが1行単独(1番行のシェアが100%)ならば存続可能な地域、赤は1行単独(1番行のシェアが100%)になっても不採算の地域――と分類しているもので、どの都道府県の地銀が生き残れて、どの都道府県の地銀は淘汰されるのかが一目瞭然だ。

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