ブリュッセルに集まったNATO首脳。だが亀裂は深まるばかり(後列左からドゥダ・ポーランド大統領、コスタ・ポルトガル首相、ヨハニス・ルーマニア大統領、中列左からメルケル独首相、チプラス・ギリシャ首相、オルバン・ハンガリー首相、前列左からストルテンベルグNATO事務総長、トランプ米大統領、メイ英首相 (C)AFP=時事

 

 7月11、12日、ブリュッセルでのNATO(北大西洋条約機構)首脳会議では、カナダのシャルルボワG7(主要7カ国首脳会議)で明らかになった米国と欧州の同盟関係の亀裂が改めて浮き彫りになった。

 11日、開幕に先立つイェンス・ストルテンベルグNATO事務総長との会談で、ドナルド・トランプ米大統領は「ドイツはロシアの捕虜のようなものだ」と発言して、ドイツがロシアから天然ガスを大量購入するバルト海の海底パイプライン計画「ノルドストリーム2」を批判した。トランプ大統領は「我々はロシアに対する防衛をするのに、ドイツはロシアに巨額の資金を支払っている」とも発言をした。

 これは「嫌いな」アンゲラ・メルケル独首相へのトランプ流の嫌がらせだが、欧州へのガス輸出を拡大させたいとの米国の思惑もある。欧州内には対ロ姿勢の足並みの乱れがあり、「ノルドストリーム2」計画に対して、ロシアへのエネルギー依存を強めるとのポーランドなどが主張する反対論が、EU(欧州連合)内でも根強い。このためトランプ発言は、欧州分断を狙ったものとの警戒がある。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。