「モノ言う株主」に変貌する「GPIF」の脅威

執筆者:磯山友幸2018年7月19日
債権中心から株式へ大きく重心を移したのは、政府の方針(「GPIF」HPより)
 

 国民の年金資産を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、日本の大手上場企業の「大株主」として存在感を増している。

 GPIFが7月6日に発表した2018年3月末時点の保有資産は156兆3832億円で、そのうち25.14%に当たる39兆3147億円が「国内株式」、つまり日本株に投資されている。東京証券取引所市場1部の3月末の時価総額は638兆5655億円だから、何とその6.2%に相当する規模の株式を、1つの機関投資家が握っているわけだ。

債権から株式へ

 安倍晋三内閣が発足した2012年12月末のGPIFの保有資産は111兆9296億円だった。そのうち「国内株式」は14兆4598億円で、全体の12.9%に過ぎなかったが、5年3カ月の間にGPIFの日本株への投資は2.7倍になった。安倍内閣がGPIFの運用を見直し、日本国債中心から株式へと運用先を大きくシフトさせたこと、それが株価の上昇で評価額が大きく含らんだことから資産規模が拡大した。

 GPIFは2014年10月に、基本ポートフォリオ(資産構成割合)の見直しを発表した。政府の方針に沿った形で、それまで60%を日本国債などの「国内債券」で運用していたものを35%に引き下げる一方、国内株式を12%から25%に、外国株式を12%から25%に、外国債券を11%から15%にそれぞれ引き上げた。債券中心から株式へと大きく重心を移す大転換をしたのである。

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