首脳会談後、共同記者会見に臨むトランプ(左)、プーチン(右)両大統領。だが共同声明はなかった (C)AFP=時事

 

 7月16日にヘルシンキで行われた米露首脳会談について、ロシアでは、「好ましい未来への最初の1歩が踏み出された」(『ロシア新聞』)、「米露関係を改善する現実的なチャンスが訪れた」(アンドレイ・クリモフ露上院外交委員会副委員長)などと評価する声が多いが、何らの合意もなかったことは、ロシアにとって不本意だろう。ドナルド・トランプ米大統領の対露融和発言は、民主、共和両党から集中砲火を浴び、米議会の反露感情の強さを見せつけた。トランプ大統領と会談を重ねても、制裁緩和にはつながらない。

忠告無視で批判集中

 両首脳の本格会談は初めてだったが、発表から開催まで3週間で、さすがに準備期間が短かったようだ。ロシア紙『コメルサント』(7月17日)によれば、ロシア側は共同声明の発表を望み、米側に案文を提示したが、合意には至らなかったという。

 ウラジーミル・プーチン露大統領は共同会見で、「戦略的安定および大量破壊兵器不拡散の問題に関する具体的提案を記した文書を手渡した」と述べていた。ロシア側は「米露は国際安全保障に特別な責任を持つ」(プーチン大統領)として、米露対話の強化を求めたが、トランプ政権内で対露政策がまとまっておらず、軍備管理問題も継続協議となったようだ。

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