ドイツを非難したトランプ大統領、もしや自国のウラン事情を知らなかったのか(C)AFP=時事

 

 日本では、1次エネルギーとしての原子力は「技術で獲得できる事実上の国産エネルギー」(「エネルギー白書2018」)と位置づけられている。あるいは「準国産1次エネルギー」(「エネルギー白書2013」)とも称されている。

 この表現に、筆者は長いあいだ「違和感」を抱いていた。

 日本国内で生産されないのなら、いつかは輸入しなければならない。使用可能年数が長い、あるいは再利用できるからといって「事実上の国産」とか、「準国産」というのは欺瞞的表現ではなかろうか。

 筆者の記憶では、岡山県と鳥取県の県境に位置している「人形峠」でかつてウラン鉱石が採掘され、日本初の国産ウラン製造も成功したはずだが、最近トンとして話を聞かない。その後、ウランの国際的価格が下落したため、国産の精製にこだわるより輸入した方が安価で安定しているとの判断がなされたように記憶している。だから「国産」は無理なのだろう。

 一方で、休止している原子力発電所の再稼働の是非が議論されており、新規増設など、新たなウラン鉱石需要が発生する見込みはほぼない。したがって、1次エネルギーとしての原子力製造のためのウラン鉱石の、世界的な需給バランスや地政学リスクなどが報じられることもなく、我々の興味関心を引くことはほぼない。

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