さすがにこれが「合成」写真ではなかった(C)EPA=時事

 

 今年4月21日夜、サウジアラビア(以下、サウジ)の首都リヤドの王宮付近で銃撃事件が発生した。サウジ治安当局は、無許可の娯楽用小型ドローンを治安部隊が撃ち落とした、と発表した。

 それから1カ月強、サウジの皇太子、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子(以下、MBS)は公の場から姿を消した。就任直後の米マイク・ポンペオ国務長官が4月29日に訪問したときも、メディアには皇太子MBSの姿は報じられなかった。4月のあの事件は「クーデター未遂」だった、MBSも銃撃され怪我をした、という噂が根強く流れていた。サウジ側から具体的説明がないまま、イランの通信社は「皇太子死亡説」まで流すようになった。これにもサウジ側は反応しなかった。

 5月23日になってフランスのエマニュエル・マクロン大統領と、6月3日にはイギリスのテリーザ・メイ首相と電話会談を行った、とのニュースが流れた。続いてアブダビ首長国のムハンマド・ビン・ザーイド皇太子とジェッダで面談した、さらには6月10日に、メッカにおけるサウジのサルマーン国王主催のレセプションに同席し、客人を歓待したとのニュースが写真とともに伝えられた。

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