歴史的な米朝首脳会談からわずか1週間後、中国を訪問して中朝の結束を強調した金正恩党委員長(右、左は習近平総書記)[KCNA VIA KNS]EPA=時事

 

 ドナルド・トランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の米朝首脳会談が6月12日に行われてから、1カ月以上が過ぎた。そこで発表された共同声明には、非核化については北朝鮮が「朝鮮半島における完全な非核化に向けて努力する」と約束しただけで、非核化への工程表も期限もなく失望感が広がった。トランプ大統領が北朝鮮に「体制の保証」を与えることを約束し、金党委員長は「朝鮮半島の完全な非核化への約束」を確認するという象徴的な約束を交わしただけで、「体制の保証」にも「非核化」にも具体性はなかった。

 しかし、70年近く敵対関係にあった米朝両国が「新たな関係の確立」に向かうことを確認し、「相互の信頼醸成で」非核化に向かうことを確認したことは、東アジアのこれまでの対立の枠組みが再編に向けて動き出す可能性を含んでいた。

 米朝首脳会談が原則合意だけで終わっただけに、マイク・ポンペオ米国務長官の7月6~7日の訪朝で非核化を含めた具体的な合意が生まれるのではないか、という期待が高まった。しかし、ポンペオ長官は北朝鮮と目立った合意をすることもなく、ほぼ「手ぶら」で米国へ帰った。米国内では、「米韓合同軍事演習中止という譲歩までしたのに、北朝鮮は非核化に動き出さない」と不満の声が高まっている。

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