ポンペオ米国務長官(右)は、金英哲党統一戦線部長(左)との協議が「生産的」だったと言うが (C)AFP=時事

 

 米メディアなどで北朝鮮の非核化に懐疑的な見方が噴出すると、ドナルド・トランプ大統領は7月3日、ツイッターで「フェイクニュースを含め野党だけが不満を言っている。私がいなければ今ごろ北朝鮮と戦争になっていたぞ!」と反発した。

 トランプ大統領は「北朝鮮とはたくさん良い話し合いをした。うまくいっている!  ロケットの打ち上げも核実験も8カ月間ない。アジアのすべての人が感動している」と主張した。北朝鮮の非核化に進展はないが、北朝鮮が昨年のように核実験やミサイル発射をしていないのも事実だ。

 昨年のような、まかり間違えば朝鮮半島で軍事衝突が起こっても仕方のないような情勢を脱したことは、米朝首脳会談の成果だろう。3月8日に何の準備もなく受諾してしまった米朝首脳会談をわずか3カ月で実現し、その会談に非核化の中身や工程表など具体的な内容を期待するのは無理があろう。「アジアのすべての人」が感動しているわけではないが、危機を転換した意味は大きい。

今度は「FFVD」?

 米国務省は7月2日、マイク・ポンペオ米国務長官が同5日に米国を出発し、7日まで北朝鮮を訪問、7日に東京に立ち寄り、8日まで東京に滞在すると訪朝日程を発表した。米国務省はポンペオ国務長官の日程説明の中で、北朝鮮の非核化について米国がこれまで使ってきた「完全で検証可能で不可逆的な非核化」(CVID=Complete,Verifiable,Irreversible Denuclearization/またはDismantling)という言葉を使わず、「最終的で完全に検証された非核化」(FFVD=Final, Fully Verified Denuclearization)という表現を使った。米国は「CVID」を使わず、新たに「FFVD」という概念を登場させたのである。

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