「安全審査」で事実上の合格を得ながら、再稼働への道は厳しい東海第2発電所 (C)時事

 

 日本原子力発電(以下原電、本社は東京都千代田区)の東海第2発電所(茨城県東海村)に対し、原子力規制委員会が「安全審査」で事実上の合格証を出したのは7月4日だった。だがその後、再稼働の機運はさっぱり盛り上がらない。

 それもそのはず、同原発は東京都心から約130キロと近接し、半径30キロ圏内の14市町村に約96万人が居住している。すでに「再稼働反対」の声が広がり、地元の東海村はともかく、今年3月に新たな安全協定を結んだ周辺5市(茨城県水戸市、日立市、常陸太田市、ひたちなか市、那珂市)が揃って「再稼働」を事前了解する可能性は極めて低いのだ。

 おまけに事業母体の原電は、東京電力福島第1原子力発電所(フクイチ)事故以降、原発3基(うち1基は廃炉決定)が1度も稼働せず、売電収入ゼロの状態が続く。本来なら即座に「破綻」なのだが、受電契約を結んでいた大手電力からの「基本料金」収入や債務保証で何とか食いつないでいる状態だ。

 経済産業省は国内原発事業再編の「受け皿」として原電の存続を図ってきたが、高リスク・高コストの原発離れが世界で加速しており、この究極の“ゾンビ企業”の延命が限界に近づいてきている。

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