ミケランジェロ・ブオナローティ《ダヴィデ=アポロ》 1530年頃 フィレンツェ、バルジェッロ国立美術館蔵 高さ147cm 大理石  Firenze, Museo Nazionale del Bargello / On concession of the Ministry of cultural heritage and tourism activities

 

 イタリア・フィレンツェの《ダヴィデ》、サン・ピエトロ大聖堂の《ピエタ》、システィーナ礼拝堂の《天地創造》《最後の審判》、《サン・ピエトロ大聖堂クーポラ》《カンピドーリオ広場》など、彫刻、絵画、建築の各分野で誰もが知る大作を後世に残したルネサンスの巨匠ミケランジェロ・ブオナローティ(1475~1564年)。

 彼はどの分野でもその才能をあますことなく発揮させ、存命中からすでに神格化されていたほどだったという。

パッシニャーノ《ミケランジェロの肖像》17世紀初頭 個人蔵 120.5×95.5cm 油彩、カンヴァス

 実際、弟子であるジョルジョ・ヴァザーリ(1511~74年)は、自身が執筆した『美術家列伝』(初版は1550年)のなかで、「過去の者も当代の者も含め、あらゆる芸術家のなかで栄光を獲得し、他のすべてを凌駕し圧倒するのは、神のごときミケランジェロ・ブオナローティである」と述べている。加えて、「彼が君臨する領域は3つの芸術のうち1つだけではなく、これらすべてなのである」とミケランジェロの多才ぶりを称えるが、彼自身は「彫刻家」であることに誇りを持ち、絵画の仕事を受けたくないと、たびたび周囲にこぼしていた。

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