米欧「貿易戦争」急転直下「妥結」の舞台裏

執筆者:花田吉隆2018年8月3日
マクロン、メルケル仏独首脳らが失敗した「難事業」を成し遂げたユンケル委員長(左)(C)EPA=時事

 

 米、EU(欧州連合)間の貿易戦争がすんでのところで回避された。朗報である。米国は、EUからの輸入車に対する関税引き上げを行わず、EUは米国からの液化天然ガス、大豆の輸入増を検討する。他品目に対する関税については引き続き協議する。

 ただし、これはあくまでも一時的なもので、ドナルド・トランプ米大統領が、自らを取り巻く国内情勢が厳しくなったと感じれば、いつまた戦線再開を言ってくるか分からない。しかし、とりあえずは決着した。

失敗した「マクロン」「メルケル」

 米、EU間の貿易問題についてはこれまでも大物が登場した。エマニュエル・マクロン仏大統領は米国まで飛び、盛んにトランプ大統領の歓心をかって何とか関税引き上げ回避に持ち込もうと奔走した。アンゲラ・メルケル独首相も米国まで足を延ばし、しかし、こちらは冷静に、双方が関税を引き上げ貿易関係を縮小させることの非を説いた。双方とも、手ぶらで帰国したことは拙稿のとおりである(2018年5月4日「トランプ『ディール』に翻弄された『メルケル』『マクロン』訪米」参照)。

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