原油タンカー「攻撃」で見せたサウジ「不可解対応」の意図
2018年8月6日
サウジアラビア(以下サウジ)の実質的指導者であるムハンマド・ビン・サルマーン(MBS)現皇太子が表舞台に登場したのは2015年3月、父君サルマーン国王の即位に伴い就任した後任国防大臣として派手に空爆を開始し、イエメン内戦に介入したときだ。翌4月には副皇太子となり、昨年7月に皇太子となったが、国防大臣は兼務したままだ。
MBSの意図が奈辺にあったのかは不明だが、介入からほぼ3年半、イエメン内戦は泥沼化するばかりで、解決への道筋はまったく見えていない。
そんな中、7月25日に紅海の出入口、バーブルマンデブ海峡近辺を航行中のサウジの原油タンカーがイエメンの武装勢力「フーシ派」の攻撃を受ける事件が発生した。決して初めてのことではないが、サウジのハーリド・ファーリハ・エネルギー産業鉱物資源相は同日、当分のあいだサウジ・タンカーの紅海航行を中止する、と発表した(『Financial Times』「Saudi suspends Red Sea oil shipments after tanker attacks」2018年7月26日)。
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