「芸術表現としての椅子」が並ぶ新館展示室。今回の展示にあたっては、建築家の伊東豊雄氏が、芸術監督の役割を引き受けており、野生動物の椅子と目が合うように、観覧者が低く座れる椅子を用意したという 撮影:筒口直弘
 

 かわいらしいフォルムに幾何学的な文様――。原始的な造形と現代美術のような斬新さを併せ持つ数々の「椅子」は、ブラジルの先住民が制作したものだ。東京都庭園美術館で開催されている「ブラジル先住民の椅子 野生動物と想像力」展では、ブラジル・サンパウロにあるベイ出版社の約350点のコレクションから、92点が紹介されている。

《カメ》 リクバツァ民族 
作者不詳 長43㎝
Aカテゴリーの椅子。背中の傷は、まな板としても使用していたから
《双頭のオウギワシ》 
民族・作者不詳 長120㎝
Bカテゴリーの椅子。現実に存在する動物の中、唯一、想像上の鳥がモチーフとなっている

 「ベイ社は普段からコレクションを公開しておらず、これらの作品は海外初出展でもあり、“日本初公開”でもあるのです」と説明するのは、同美術館の大木香奈主任学芸員。

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