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 将来の石油価格予測ほど難しいものはない。

 石油業界でこれまでの名経営者の1人に上げられる元「BP」社長のジョン・ブラウンは、「神のみぞ知るものだ」と述べた。旧「エクソン」元会長のリー・レイモンドも、「モービル」を吸収合併した直後の長期経営計画策定作業において、新生「エクソンモービル」の企画部門に、「20年前に行った2000年予測と実際の結果」について下問し、石油需要量予測はほぼ正確だったが、技術革新と地政学リスクを見通せず、価格予測は完璧に外れた、との回答を得、爾来長期計画に「価格予測」は織り込まなくなった、とのことだ。

 筆者も『原油価格暴落の謎を解く』(文春新書、2016年6月)を上梓した際、将来の石油価格予測を書く事をためらった。最後は編集者に押し切られ、無理やり書くことになってしまったが。

 その際、次のように記した。

「石油会社は各社とも、価格予測を公表していないが、社内において該当プロジェクトの投資決断を行う場合には、何がしかの『価格予測』を前提としている。そのプロジェクトが立ち上がり、数十年間継続して運営していく際の経済性の根拠となる『価格』だ。もちろん、毎年のように見直しを行い、たえず変更されているものと思われるが、この『価格』こそが、将来の原油価格がどうなりそうかのヒントの塊であろう。

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