バングラデシュ「医療改善」への挑戦

執筆者:森田知宏2018年8月10日
バングラデシュの薬局が並ぶ街並み(筆者撮影、以下同)

 

【筆者:森田知宏相馬中央病院内科医(詳細プロフィールは下記参照)

 私は現在、福島県相馬市で内科医をしながら、「miup」という会社の役員としてバングラデシュで医療サービスを展開している[注1・末尾参照]。

 この会社は、学生時代から途上国開発研究を行っていた酒匂真理が、バイオインフォマティクスを専門とする長谷川嵩矩(東京大学医科学研究所ヘルスインテリジェンスセンター助教)、山田智之(Genomedia代表取締役)とともに立ち上げたスタートアップだ。9月からはコニカミノルタとともに採択されたJICA(国際協力機構)の「途上国の課題解決型ビジネス(SDGsビジネス)調査」が本格的に開始され、モバイル医療機器などを利用した遠隔での健康診断調査が行われる準備を進めている。本稿では、バングラデシュの医療事情についてご紹介したい。

 バングラデシュは顕著な医師不足で、人口1000人あたり医師数は0.4人である。日本の全国平均(2.5)の5分の1以下だ。医師だけでなく看護師や技師、地域のコミュニティーワーカー(非資格職)などを含めた医療従事者でも人口1万人あたり6.1人と、ネパール(6.7)やブータン(14.6)よりも少なく、WHO(世界保健機関)の推計では6万人の医師、28万人の看護師、48万人の技師が不足していると言われている[注2]。

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