5年ぶり「北方領土訪問」で体感したロシアの「意図」
2018年8月13日
2018年7月28日から30日にかけて、筆者は内閣府のビザなし交流団の一員として北方領土の択捉・国後両島を訪問した。訪問日程は初日が国後島、続く2日が択捉島である。
筆者は2013年にも両島を訪れているが、5年ぶりの訪問でまず驚いたのは、インフラ整備が格段に進んでいることであった。かつてはごくわずかしかなかった舗装道路が島の主要部をほぼカバーするようになり、廃墟同然だった建物も綺麗にリノベーションされていたり、その途中であったりするものが目につく。公共施設も充実し、立派な公民館やスポーツ施設、保育所などができていた。
もう1つ印象に残ったのは、島内にホテルやレストランが多数オープンしており、すでに観光客が多数訪れていたことである。筆者自身が出会った観光客や訪問団員の話を総合すると、サハリン、シベリア、さらには中国など様々な場所から訪れているようだ。
北方領土での共同経済活動がなかなか具体化しない中で、なし崩し的に観光開発が進んでいるのが現状と言える。
「友好」の横で「軍事力強化」
残念だったのは、択捉島の新空港(ヤースヌィ空港)を視察できなかったことだ。この空港は北方領土開発計画の1つの目玉であり、2014年にオープンして以降、サハリンと択捉島を毎日一便が往復している。前回はその建設現場を視察できたのだが、今回の訪問日程には組み込まれていなかった。空港のすぐ隣を走る道路(これも前回は土がむき出しの泥道だったが、現在は完全に舗装されている)を何度も通るのに何故入れてくれないのか、と若干疑問を抱いていたが、その理由はすぐに明らかになった。
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