「BP」が巨額の負担を負うことになった「マコンド坑井」の爆噴事故(C)AFP=時事

 

 今日、紹介したいのは、『フィナンシャル・タイムズ』(FT)が、英大手石油会社の「BP」が米事業に完全復活した、と報じている記事だ。

「BP」は2010年4月、メキシコ湾深海のマコンド坑井を「Deepwater Horizon」号で掘削中、11人の死者が出る暴噴事故を起こし、多額の清掃費用、ペナルティ、補償金支払いを迫られた。これにより、2014年末以降の原油価格暴落の影響をモロに受けた2015年には、他社による「買収」の対象ともなっているとの噂が出るほどの苦境に陥っていた会社だ(「岩瀬昇のエネルギーブログ」#56「石油会社のM&A再燃か?」2015年4月9日および#60「英国政府『BP買収』に反対意思表明」2015年4月28日参照)。

 FTの記事によると、これまでの事故関連支払い費用は665億ドル(約7兆3000億円)に上っている。

 事故を起こした2010年は37億ドルの赤字、また油価下落の影響をもろに受けた2015年は65億ドルの赤字を計上しているが、それらの赤字を含め、2010年から2017年までの8年間の純利益合計は、572億ドル(約6兆3000億円)となっている。単純計算では、2010年から2017年までに13兆円ほどの利益を生み出す能力をもっていたことになる。

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