言うは易く行うは難し……(C)EPA=時事

 

 大統領選挙の前倒し強行など強権化を強めるベネズエラのニコラス・マドゥロ政権に対する河野太郎外務大臣の発言が、ベネズエラ外務省の正式な抗議に発展し、波紋を広げている。

 河野外務大臣は8月12~19日の日程でエクアドル、ペルー、コロンビア、メキシコを訪問した。

 8月17日付『日本経済新聞』によると、河野大臣は訪問先のペルーで14日、ネストル・ポポリシオ外務大臣との会談後、「ベネズエラに広範な国民参加を得た民主主義を回復することで一致した」と述べ、マドゥロ政権の正当性を認めないペルー政府の姿勢に同調した。

 この発言に対し、ベネズエラのホルヘ・アレアサ外務大臣が15日、駐ベネズエラ岡田憲治大使を外務省に呼び出し、発言が「非友好的で敵対的な内政干渉行為であり、断固として拒絶する」と非難し、「訂正されない場合は相応の方策をとる」と、警告を発したと伝えられている。

独自の立場を示してこなかった日本

 これまで日本政府はベネズエラ情勢について、G7(主要7カ国)と共同歩調をとりつつも、独自の立場は示してこなかった。5月23日の「ベネズエラに関するG7首脳声明」では、「5月20日の大統領選挙に至る選挙プロセスが、国際的に認められた基準を満たしておらず、包摂的、公正かつ民主的なプロセスの基本的な保証も確保されていないことにより、正統性及び信頼性を欠いており、一致団結して拒絶する」としていた。

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