これは大統領自身の発案ではなさそうだが(C)AFP=時事

 

 諸事多忙で、8月21日の朝『日経電子版』で、米国が戦略石油備蓄(Strategic Petroleum Reserve=SPR)の一部放出を決定した、というニュースに接した(「米、石油備蓄放出へ イラン産輸入停止に備え10月から」ワシントン中村亮特派員、8月21日9:24)。

 筆者は、本件はタイミング以外は既定路線、以前に「岩瀬昇のエネルギーブログ」で報じたことがあるはず、と検索してみた。すると、2017年5月23日に、#346「やっぱりトランプ大統領にはエネルギー政策はなかった」と題して、『フィナンシャル・タイムズ』(FT)の同日付け「Trump hits oil price with reported plan to sell half of strategic reserves」という記事を紹介していた。記事の要点は、「戦略備蓄を半量(3億4400万バレル)10年間かけて売却し、165億ドルの収入を得ることを目的とした予算案を議会に提出した」というものだった。筆者の論点は、トランプ大統領のエネルギー政策は、アメリカには無尽蔵のエネルギー資源があるという前提に基づいているが、この前提が間違っているのでは、というところにあった。

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