ジョージア・カヘティ地方のブドウ畑(筆者撮影、以下同)
 

 昨年、ギネス世界記録はジョージアワインを世界最古のワイン生産国と認定した。世界的にジョージアワインが注目されているなかで、これは「最古」のお墨付きを得たという以上の政治的な意味合いを同国に与えている。ワインが国のアイデンティティーと民族の誇りの象徴であることを再確認するとともに、対立するロシアを牽制するツールにもなっているからだ。

最古の製法「クベブリ」

アラベルディ修道院のジョージ司教。テースティングで

 8月上旬、ジョージア東部のカヘティ地方のワイナリーを取材した。北のカフカス山脈に遮られ、この地方はカスピ海からの温かい空気が滞留し、ブドウ栽培に適した高温低湿の気候にある。

 中心都市テラビから約40キロ。11世紀に建てられた古色蒼然としたジョージア正教会のアラベルディ教会の脇に同名の修道院がある。ここでは5年前からワイン造りを行っている。ジョージ司教が修道院内の近代的な醸造装置、ワイン倉庫などを案内してくれた。

 それにしてもなぜ修道院でワイン造りなのか。

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