饗宴外交の舞台裏 (243)

ワイン生産「最古」認定で覚醒する「ジョージア」の誇り

執筆者:西川恵 2018年8月27日
エリア: ヨーロッパ アジア
ジョージア・カヘティ地方のブドウ畑(筆者撮影、以下同)
 

 昨年、ギネス世界記録はジョージアワインを世界最古のワイン生産国と認定した。世界的にジョージアワインが注目されているなかで、これは「最古」のお墨付きを得たという以上の政治的な意味合いを同国に与えている。ワインが国のアイデンティティーと民族の誇りの象徴であることを再確認するとともに、対立するロシアを牽制するツールにもなっているからだ。

最古の製法「クベブリ」

アラベルディ修道院のジョージ司教。テースティングで

 8月上旬、ジョージア東部のカヘティ地方のワイナリーを取材した。北のカフカス山脈に遮られ、この地方はカスピ海からの温かい空気が滞留し、ブドウ栽培に適した高温低湿の気候にある。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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