今年1月、反汚職委員会の調査が労働人材省に入ったことを報じる地元メディアの記事。写真に写っているのが同省の建物(『The Bhutanese』HPより)

 

「日本に留学すれば、日本語学校に在籍中でも月20~30万円は稼げる。留学費用の借金だって短期間で返済できる」

 そんな甘い言葉で留学希望者を募るやり方は、ブータンに先駆けて日本への「留学ブーム」が巻き起こったベトナムなどアジアの新興国で、ブーム初期に斡旋ブローカーがよく使っていた。

 現地の若者が日本の事情に疎いことにつけ込み、彼らを「留学」という名の出稼ぎに誘い込む。留学生の数を増やし、ビジネス拡大を目論む日本側の日本語学校とタッグを組んでのことである。

 一方、ブータンに限っては、他のアジア諸国には見られない特徴がある。それは「学び・稼ぐプログラム」という名のもと、政府が主導して日本へ留学生を送り出していることだ。

ブータン労働人材省の敏感な反応

 同プログラムの中心的存在として留学生の斡旋を担っている「ブータン・エンプロイメント・オーバーシーズ」(BEO)については、ここまで詳しく書いてきた。そのBEOと一体となって、プログラムを推進してきたのがブータン労働人材省である。

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