参議院本会議においてIR法の採決で投票する議員ら (C)時事
 

 平面で見ていた時には気付かなかったことが、立体で見ると分かったり、角度を変えて見ることで分かったりすることがある。

 通常国会の会期末が迫った7月20日、安倍政権はカジノを含む統合型リゾート(IR)施設整備法案(以下、IR法案)を参議院本会議で可決、成立させた。しかし、同法案の審議は、7月初旬の西日本豪雨への災害対策を優先すべき時に、担当大臣である石井啓一国土交通相がIR法案の審議を優先させたことから、野党側が石井大臣の問責決議案を提出、さらには、内閣不信任案の提出という激しい抵抗を見せた。それでも、政府・与党はIR法案を強行採決し成立させた。

「国民を騙している」

 何故、安倍首相はそこまでして、会期内にIR法を成立させたかったのか。確かに、IR法は同会期に提出された重要法案の1つに位置付けられていた。それでも、十分な審議時間を取らず、議論を尽くすこともなく、災害対策をなおざりにしてまで法案の成立を望んだのは何故なのか、という素朴な疑問が浮かんでくる。「余程大きな利権が動いているのだろう」(野党幹部)という憶測はさておき、その理由は重要な意味を持つのだが、ここでは、謎解きは後回しにする。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。