2018年1月、中部電力浜岡原子力発電所の防波堤を視察する川勝平太静岡県知事(右から3人目)。再稼働は絶望視されているものの、南海トラフ地震への対策で巨大な防波堤が築かれた (C)時事
 

 8月下旬に新聞各紙が大きく報じた東京電力ホールディングス(HD)、中部電力、日立製作所、東芝による「原子力事業提携」。沸騰水型軽水炉(BWR)の運営・製造に関わる4社が、既存原発の保守管理や廃炉作業の共同化、原発新設プロジェクトの再開などで「連合」を形成し、将来的には原発事業全体の統合も視野に入れるとする。

 しかし、東電や中部電が保有するBWR合計16基(東電は福島第1原子力発電所=フクイチ=を除き11基、中部電は5基)は当面運転再開の見込みがなく、一方現状で再稼働の可能性が最も高いBWRといえば島根原発2号機(松江市)だが、同機を抱える中国電力のほか、東北電力や北陸電力といったBWRユーザーも「連合」に加わっていない。「極めて恣意的な構想」(電力大手幹部)は、何を狙ったものなのか。手掛かりを辿っていくと、産官に巣食う“原発マフィア”たちの焦りが浮き彫りになる。

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