アメリカ北中西部ノースダコタ州にあるシェールガス生産施設(C)AFP=時事

 

「シェール革命の父」と呼ばれたジョージ・ミッチェルは、きわめて矛盾した性格をしていた、と息子の1人が語っている。すなわち、人口増がもたらす人類の未来を危惧していたが、自らは10人の子供と23人の孫、さらに数え切れない程の曾孫に囲まれていたし、シェール層から経済的に天然ガスを採取する手法を確立したのに、シェールガス生産が将来、環境問題を引き起こすのでは、と懸念していた、というのだ。

 そのジョージは、94歳で天寿を全うする前年の2012年8月、『日本経済新聞』とのインタビューで次のように語っている。

「一部の荒くれ者のために、この国の十分な天然ガスを手に入れる機会をフイにすべきではない。問題を起こす業者には厳罰で対処すべきだ。政府と業界でルール作りを急ぐべきだ」と。

 同紙が「荒くれ者」と翻訳しているのは、「ワイルドキャッター(wildcatter)」のことだろう。

「ワイルドキャッター」とは「ワイルドキャット(試掘井)」を掘削する業者、すなわち「千本」掘って当たるのはせいぜい「三本」ということから「千三つ」と揶揄される、博打性の高い探鉱に挑む業者のことだ。

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