1987年、ホワイトハウスで開かれたレーガン米大統領夫妻主催の晩さん会で、大統領夫妻の出迎えを受けられた明仁皇太子、美智子妃(当時) (C)時事
 

 今もかくしゃくとした89歳のセルワ・ルーズベルトさんは約30年前、当時のレーガン米大統領夫妻の下で、7年近くホワイトハウスの儀典長を務めた。儀典長では、今もって最長記録である。この間、お世話した外国の賓客はざっと1000人に上り、まだ皇太子、皇太子妃だった今上天皇、皇后も含まれる。「君主の中で私は両陛下に深い尊敬を抱いています」という彼女が見た、あまり知られていない両陛下の様子をお伝えしよう。

在職6年9カ月の記録

 ルーズベルトさんはレバノンの少数派、ドルーズ教徒の移民の娘として1929年、米テネシー州に生まれた。1950年、セオドア・ルーズベルト元米大統領の孫と結婚。『ワシントン・スター』紙を経てフリーランスの記者となり、雑誌などに政界の著名人の話題などを寄稿してきた。

 1982年初め、ロナルド・レーガン氏が大統領になって任命した儀典長が1年で退任し、その後釜として彼女に話が持ち込まれた。記者時代にレーガン大統領のナンシー夫人を交えた食事会に出たりしていたことが、ホワイトハウスの目に留まっていたようだ。ルーズベルトさんは二つ返事で受け、戦後16人目の儀典長に就いた。1982年4月だった。1989年1月、ジョージ・H・W・ブッシュ(父)氏が大統領に就任したのを機に退任したが、在職6年9カ月の記録はまだ破られていない。

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