9月18日、訪朝した文在寅大統領と金正恩党委員長が抱擁する様子をテレビで見るソウル市民。北朝鮮の「大歓迎」はここから始まった (C)AFP=時事

 

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は9月18日から20日まで北朝鮮を訪問し、平壌では約10万人の市民に出迎えられるなど最大級の歓迎を受けた。

 焦点の非核化では、予想通りというか、北朝鮮は、核施設、核兵器、核物質などについての「核の申請」を拒否しながら、専門家の参観下での東倉里ミサイル発射実験場の廃棄や、米国が相応の措置を取ることを条件に寧辺の核施設を廃棄する用意があることを表明した。それなりに意味のある措置だが、米国や国際社会が求めていた水準には達しないものだった。

 だが、ドナルド・トランプ米大統領は「グッド・ニュース」と評価。マイク・ポンペオ米国務長官は米朝交渉を即時に再開する用意があると表明し、国連総会で訪米する李容浩(リ・ヨンホ)外相に外相会談を要請したことを明らかにした。

 北朝鮮が今回投げた非核化の「くせ球」が、ストライクゾーンの中だったかどうかは見方が分かれるだろうが、それが問題ではない。トランプ政権がこの「くせ球」を受け取ったことが重要だ。その意味で、今回の南北首脳会談を米朝交渉の再開につなげることを目的としていた文大統領の「仲介外交」は成功した。舞台は平壌から、米国が実務協議を呼び掛けたウィーンや国連総会の開かれるニューヨークへ移り、それが第2回米朝首脳会談の開催へと結実するかどうかが次の焦点だ。

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