白頭山を訪れ、記念撮影に応じる金正恩党委員長夫妻(左の2人)と、文在寅大統領夫妻(右の2人)(C)EPA=時事

 

 今回の首脳会談の2泊3日の日程は当初、3日目の日程に何も入っていなかった。そこで北朝鮮側が何かハプニングの計画を立てているのでは、という推測があったが、それは白頭山訪問だった。韓国側は2日目の19日午後になってその計画を知らされた。韓国側は急遽、防寒ジャンパー250着を空輸したという。「ひょっとしたら」と予測はしていたが、十分な準備はしていなかったようだ。

「民族の聖地・革命の聖地」白頭山へ

 標高2744メートルの白頭山は、現在は半分が北朝鮮、半分は中国に所属し、中国名は「長白山」という。朝鮮民族にとっては日本の富士山のような象徴的な山で、白頭山信仰もあり、「民族の聖地」である。韓国人にとっては、夏場に中国側から白頭山に登るのが人気の観光ルートになっている。

 一方、北朝鮮では金日成(キム・イルソン)主席が白頭山周辺で抗日武装闘争を行い、金正日(キム・ジョンイル)総書記は白頭山の密営で生まれたとしているために、「革命の聖地」でもある。韓国の大統領が金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に「革命の聖地」に案内されるというのは、帰国後に批判を受ける可能性もあった。

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