安保理サミット議長でありながら、途中退席するトランプ大統領  (C)EPA=時事

 

 国連のハイレベルウィークは、各国の首脳が一堂に会する機会であり、しばしば安全保障理事会メンバー国の首脳が特別会合を開催し、その時々の最重要課題を議論することがある。この会合を安保理サミットと呼ぶ。

 1992年の史上初の安保理サミットは、9月のハイレベルウィークではなく、ソ連が崩壊した直後の1月に開催された。冷戦期に停滞していた国連の国際平和に対する役割の拡大が期待され、この安保理サミットで当時の事務総長であるブートロス=ガリにPKO(国連平和維持活動)改革を進めることを要請した。それが後に包括的改革案の報告書『平和への課題(Agenda for Peace)』となった。

 また、イラクのクウェート侵攻に対する対処として、国連安保理決議に基づく武力制裁も議論された。安保理サミットは、冷戦後の世界が国連を中心に秩序立てられるという期待で満ちており、国連によるパックス・ユニベルサリス(Pax Universalis:万国による平和)の時代が到来するとも言われていた。

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