高齢者医療制度で負担が重くのしかかり、解散が相次ぐ健康保険組合。2022年に1つの山場を迎える(写真はイメージです)(C)時事
 

 日本の社会福祉制度の中でも誇ってよい「国民皆保険」をこのまま維持することはできるのだろうか。ここへきて、日本の健康保険制度の一翼を担ってきた大企業などの健康保険組合の解散が相次いでいる。

580組合が赤字決算

 報道によると2017年4月以降2018年4月まで、少なくとも12の健康保険組合が解散。来年4月1日付けで解散を決めたり、検討しているところも6組合にのぼる。話題を呼んだのは来年4月での解散を7月に決めた「日生協健康保健組合」と、同じく9月に決めた「人材派遣健康保健組合」。加入者がそれぞれ16万4000人、51万人と日本を代表する巨大な組合組織だった。人材派遣健保は国内2位の規模だ。

 こうした主要健保までが解散を決めた背景には、保険財政の悪化がある。健康保険組合連合会が9月25日にまとめた1394組合の2017年度の収支状況によると、42%に当たる580組合が赤字決算に陥った。

 健康保険組合は、加入している社員の保険料で、社員やOBの医療費を賄う独立採算になっているが、国の制度改正によって導入された「高齢者医療費」を賄うために拠出する「支援金」の負担が年々増加。高齢化と高齢者が使う医療費の高額化によって、現役社員の負担増では補いきれなくなっているのだ。

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