カレンバウアー幹事長を「後継者」に指名するか(C)AFP=時事

 

 権力の終わりとはこういうものだろうか。アンゲラ・メルケル首相の周辺が俄然慌ただしくなってきた。9月25日に行われた与党キリスト教民主社会同盟(CDU/CSU)の議員団長選挙で、所属議員の半数以上がメルケル首相に反旗を翻したことは10月9日の拙稿で触れた(「『メルケル首相』の『終わりの始まり』を告げたドイツ『議員団長選』の衝撃」)。同じことはまた起こりうる。メルケル首相の権力基盤が大きく揺らいでいる。

 ドイツメディアは「ブリンクハウスの反乱」と言う。しかし、新しく議員団長に選ばれたラルフ・ブリンクハウス氏は選挙前、反乱を意図した密議を凝らしたわけではない。確かに議員全員に電話はした。そこで、自分は議員の声をもっとよく聞いてやっていくつもりだ、とも言った。とは言え、フォルカー・カウダー前議員団長の失脚を画策した形跡はないし、ましてやメルケル打倒を図ったわけでもない。要するに、議員の中にたまった反メルケル感情がブリンクハウス氏の票として集まっただけなのだ。実は、こっちの方が恐ろしい。すでにマグマは噴火寸前まで来ている。

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