「AI兵器」実用化最前線に横たわる危惧

執筆者:小泉悠2018年10月12日
向かって左上にあるグレーの箱が「照準ユニット」(カラシニコフ社のデモ映像より。以下同)

 

 前回の小欄(2018年10月3日「無人車両『UGV』開発を急ぐロシアの『課題』と『意図』」)では、ロシアが無人車両(UGV)、特に戦闘ロボットUGVの開発を熱心に進めながらも、その前途がなかなか多難であることを紹介した。

 ただ、これは現在のようにUGVが後方から遠隔操作される場合の話である。仮にUGVが人工知能(AI)を搭載し、自らの判断で目標を発見から追尾、照準、攻撃まで行うことができるようになれば、ロボット兵器の現実味は俄然高まってくる。

AIがターゲットを自動識別して攻撃

モニター下部にアイコンが並んでいる

 こうした戦争の将来像を予感させるものが最近、ロシアの銃器メーカーとして有名な「カラシニコフ社」の公式サイトで公開された。同社の開発したAI搭載機関銃砲塔のデモ映像である。

 映像に解説音声は付いていないが、その意味するところは明らかであろう。

 砲塔上部についた照準ユニットの蓋が開くと、前方に並べられたターゲットの姿がコントロール用モニターに映し出される。モニターには「ニューラル・ネットワーク」「知能」とロシア語で書かれたアイコンが並んでおり、前者が点灯している。そして「知能」というアイコンにオペレーターがタッチすると、砲塔に搭載された火器管制コンピュータが銃を持った人型ターゲットや車両型ターゲットを自動で識別し、攻撃の優先順位を決めた上で次々と打ち倒していく――。

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