対中国「軍事衝突」蓋然性高める自衛隊「南シナ海潜水艦訓練」の波紋
2018年10月12日

9月13日、南シナ海で実施された海上自衛隊の対潜水艦戦訓練の様子。護衛艦「かが」(左上)と、「かが」の搭載ヘリコプター[海上自衛隊提供](C)時事
9月13日、海上自衛隊の潜水艦訓練が南シナ海で行われた(9月17日報道)。
安倍晋三首相は、「南シナ海における潜水艦の訓練は『練度を向上させる』ため、昨年も、一昨年も(行ったし)、15年前から行っている。特定の国を想定したものではない」とコメントした(9月17日『テレビ朝日』)。
この海域は公海であるが、中国が引いた「九段線」海域内のフィリピン西海域で、実効支配を強化している南沙の人工島近海である。自衛隊の最高指揮官で「訓練を命令する」立場にいる安倍首相の発言は、中国から反発を招くもととなる。
仮に日本列島近海、舞鶴沖、相模灘沖で「防衛白書が指摘する脅威対象国の海軍」が同様の訓練を行った場合、その行動は、日本にとって「悩ましく不快な脅威」と映るに違いない。
「抑止力アピール」か「高まる緊迫」か
先の大戦から約70年間、日本は他国に対して軍事的脅威を与えてこなかった。軍事力行使の抑制を図り安全保障環境の安定的維持が国是であった我が国は、「専守防衛に徹するスタンス」を貫いてきた。しかし、2014年7月、「集団的自衛権行使の容認」が閣議決定され、「積極的防衛」への転換が図られた。
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