10月2日にイスタンブール総領事館で起こったと疑われるジャマール・ハーショクジー(日本語では「カショギ」と発音されることも多い)氏殺害疑惑は、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が今年4月以来の長い沈黙(時には不在)を破って、再び活発に内政外交の手腕を振るうようになるか否かが注目されていた瞬間に起こった。9月29-30日のクウェート訪問久々に外交を主導する姿を見せ、10月3日には『ブルームバーグ』の記者たちをリヤードの王宮に集めてインタビューに答え、メディアへの沈黙を破ろうとするところだった。

"Saudi Crown Prince Discusses Trump, Aramco, Arrests: Transcript," Bloomberg, October 5, 2018.

ムハンマド皇太子は今年4月21日のリヤードでの、王宮へのなんらかの攻撃が行われたとされる事件以来、それ以前に比して極端に公開の場への登場が減っていた。6月14日にロシア・ワールドカップの開幕戦でロシア・サウジアラビアが対戦したのに合わせてロシアを訪問しウラジーミル・プーチン大統領と同席したのが報じられるまで、その動静がほとんど伝えられず、重傷・死亡説すら流されたほどだ。その後も、この夏、ムハンマド皇太子の存在感は大きく薄れた。

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