サウジ「御用記者」の激越な対米威嚇

執筆者:池内恵2018年10月15日

10月14日にサウジアラビア国営放送が報じた、米国の対サウジ制裁への警告とも読み取れる、異例の強い警告の声明を受けて、サウジ系の放送局・新聞社、そしてサウジ支持のSNSアカウントが、一斉に同工異曲のサウジ体制翼賛・対米威嚇の発信を行っている。

その中でも特に目立つのは、サウジ系の国際衛星放送『アル=アラビーヤ』のトルキー・アル=ダヒール総局長が『アル=アラビーヤ』ウェブサイトに掲載した論説である。

"US sanctions on Riyadh would mean Washington is stabbing itself," Al Arabiya English, October 14, 2018.  【アラビア語版はこちら

この論説は「米国のサウジ制裁は、米国が自分自身を刺すということだ」とタイトルで明確に警告の対象が米国であることを明らかにしている。冒頭でサウジ政府の声明を読んだ、とまず記した上で、「サウジの政策決定サークルに出回っている情報は、こんな甘い言葉ではない」と居丈高である。制裁に対しては30の対抗措置を検討していると称し、その影響は米国経済を破滅させ、全世界を揺るがす大災厄をもたらす、サウジが日量750万バレルの生産を行うのをやめれば、石油価格は1バレル100ドル、いや200ドルにもいくぞ、と威嚇する。

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