韓国で政策評価を行っているウォン・チョンハク(元鍾鶴)韓国租税財政研究院財政事業評価センター所長(筆者撮影)
 

 安倍晋三首相は10月15日、消費税率を予定通り2019年10月から10%に引き上げると表明した。増え続ける社会保障費を賄ううえで致し方ないとの見方が多いが、足下の消費が弱いままで税率を引き上げた場合、景気が腰折れする懸念がつきまとう。

100兆円を突破

 財政再建が大きな課題であることは間違いないが、安倍内閣になってすっかり消えた言葉がある。「行政改革」や「歳出カット」だ。年末に向けて策定される2019年度の一般会計予算は、100兆円を突破する可能性もある。もちろん当初予算としては、過去最多。いくら消費税を上げて収入を増やしても、大盤振る舞いで歳出を増やしては、財政再建はおぼつかない。

 民主党政権時代は、政策評価を行って効果が乏しい事業を廃止・縮小する「事業仕分け」を行ったが、評判が散々だったあげく、歳出抑制効果は限定的だった。今も政策評価は形だけは続けられているものの、実際には大胆な事業見直しは行われていない。

 お隣の韓国は、1997年に通貨危機に見舞われ、IMF(国際通貨基金)管理に陥ったことから、否応なしに行財政改革を迫られた。そうした苦い経験もあり、政策評価については独自の仕組みをもっている。

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