中間選挙の集会で演説するトランプ大統領。その裏では……(C)時事

 

 一時は「ブルー・ウェーブ(野党民主党の躍進)」で、青をシンボルカラーとする民主党が上下両院とも奪還する可能性もあるか、と一部で伝えられていた米国の中間選挙(11月6日)。だが、さまざまな「オクトーバー・サプライズ」のせいもあって様相が一変、ドナルド・トランプ大統領の与党共和党が上院だけでなく下院の多数派も維持する可能性すら出てきた。

 一体、何があったのか。

「小学5、6年生程度の理解力」(ジェームズ・マティス国防長官の発言とされる)などと知性を疑われるトランプ大統領だが、選挙になると異常な勘を働かせる。今度も「恐怖」を掲げたが、その対象は「民主党による社会主義化」と、米国への移住を目指してメキシコ国境に向けて北上する何千人もの中米出身者の「群れ」だ。

 彼の行動は米中央情報局(CIA)の前身、「戦略情報局」(OSS)が1943年にまとめた「アドルフ・ヒトラーの性格分析」に一部重なる。OSSの研究は、ヒトラーの「政治行動の原則」として、「国民は感情をかき立てられないと行動しない」を1つの要件として挙げている。映画監督マイケル・ムーア氏の話題の新作『華氏119』も、トランプ大統領をヒトラーになぞらえている。トランプ大統領の肝は「真の力は恐怖だ」(ボブ・ウッドワード著『FEAR: Trump in the White House』巻頭言)という確信だ。

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