「恐怖戦術」で盛り返した米与党共和党:ヒトラーばりトランプ大統領の異常な「勘と能力」

執筆者:春名幹男 2018年11月1日
エリア: 北米 中南米
中間選挙の集会で演説するトランプ大統領。その裏では……(C)時事

 

 一時は「ブルー・ウェーブ(野党民主党の躍進)」で、青をシンボルカラーとする民主党が上下両院とも奪還する可能性もあるか、と一部で伝えられていた米国の中間選挙(11月6日)。だが、さまざまな「オクトーバー・サプライズ」のせいもあって様相が一変、ドナルド・トランプ大統領の与党共和党が上院だけでなく下院の多数派も維持する可能性すら出てきた。

 一体、何があったのか。

「小学5、6年生程度の理解力」(ジェームズ・マティス国防長官の発言とされる)などと知性を疑われるトランプ大統領だが、選挙になると異常な勘を働かせる。今度も「恐怖」を掲げたが、その対象は「民主党による社会主義化」と、米国への移住を目指してメキシコ国境に向けて北上する何千人もの中米出身者の「群れ」だ。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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